【報告】第14回渡来人の里魅力アップフォーラム 6/18㊐

【報告】第14回渡来人の里魅力アップフォーラム 6/18㊐

6月18日(日)、日高市の「ひだかアリーナ」で、渡来人の里魅了アップフォーラムを開催、約200人が参加しました。

ざっくりではありますが、以下ご報告いたします。

<挨拶>

(一社)高麗1300の大野松茂理事長

「昨年は高麗郡建郡1300年記念事業を盛大に行うことができた。せっかく掘り起こした貴重な歴史を再び風化せることなく次世代へつないでいきたい」と述べた。

谷ケ﨑日高市長、大塚財務副大臣に来賓のご挨拶をいただいた。

 

<第1部>

講演1 「観光地域振興の組織と人づくり」

成松浩二先生(国土交通省関東運輸局観光部観光地域振興課課長補佐)

緻密なデータを基に日本版DMO※について解説。まずは日本に訪れる各国別観光客数を紹介。当地とゆかりの深い韓国からは年間500万人が訪れ、韓国の10人に一人になる。しかし関東・埼玉へはほとんど来ない。観光協会が『いいところですよ~』と観光関係者が観光目線だけで言っていてはダメです。もはや観光のみでは振り向いてくれない。多様な関係者との連携が求められていると。また秋葉原など、「まちづくり」や「地域づくり」と観光が結びついた事例も紹介した。

 

※DMO(Destination Management Organization:デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)とは、観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のこと。DMCはDestination Management Company(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)の略。

 

講演2 「高麗郡建郡1300年記念事業から地域づくり」

高麗文康先生(高麗神社宮司・一般社団法人高麗1300副理事長)

20年前に先代の宮司の一言から始まった「高麗郡建郡1300年記念事業」を振り返った。まだ誰も具体的な行動を起こす前に、高麗神社で始まった「記念事業」が日高市を中心にしたまちをあげての祝賀事業に発展。当該年は「宴の年」だったと。その宴の後のこれから、「歴史を土台にした地域づくり」への思いを語った。講演の中で、「にじのパレード」のきっかけとなった「高句麗古代衣装」も披露された。

 

 

 

 

 

 

 

 

講演3 「地域の歴史資源とアウトリーチを考える ~観光考古学、アニメツーリズム、地域キャラクターマーケティングの観点から~」

石井龍太先生(城西大学経営学部助教)

冒頭で、「ローカルヒーロー」が登場、若光を素材にした先生オリジナルのニューヒーローに扮したのは城西大学の学生だ。「ローカルヒーロー」と「観光」を結ぶユニークな取り組みだ。そして「アウトリーチ※」をキーワードに講演が始まった。琉球考古学を専門に研究してきた傍らで、遺跡と観光の取り組みについても関わってきた経験も豊富。とくに「見える化」の課題は、遺跡が「埋蔵文化財」となってしまうことからその難しさも指摘。建物の復元などは、維持管理費用がかさむことに言及。その中でいくつかの事例も紹介し、まずは「案内板」程度のものから取り組むことを提案した。さらに、ゲーム感覚を取り入れた遺跡巡りやアニメやローカルヒーローなどのキャラクターコンテンツよって、歴史から縁遠い若者へのアプローチを提案した。そして最後に、観光客のニーズに応える、例えば「食」「土産」などの環境整備の必要性にも言及した。

※アウトリーチ 「手を差しのべる」意。行政や福祉分野などによく使われる。こちらから積極的に関わっていくこと。

 

講演4 「歴史資源の活用と地域振興」

溝尾良隆先生(立教大学名誉教授・地の輪ネット協議会会長)

永年の全国各地の事例を研究してきた実績から「観光」を探る。観光資源を「自然資源」と「人文資源」に分類。特に「人文資源」は、個々人で持っている情報によって理解度が異なる。その差をなくすために、パンフレットや説明板、解説ガイドを設ける。日高市は、残念ながら個々「高麗神社、巾着田、日和田山など」は知られているが、「日高市」に結びついていないと。そして「一年中文化」を軸に取り組むことを提案した。市民が普段歩いて楽しいウオーキングルートや周辺整備を。また現在溝尾先生が取り組む広域連携について「観光業は行政(区分)に関係ない」と言及。自治体が個別に取り組む限界も指摘した。

 

 

<第2部>

パネルディスカッション(いくつか先生方の発言を拾ってみました)

 

 

 

 

 

 

 

 

・石井 入口を変えてウトリーチの努力が必要。若い人へのアプローチを。(コアな歴史ファンだけだと)同じ人たちの間で循環しているだけになってしまう。

・成松 外向きの地名がない。

・溝尾 然るべき人が外に伝える。

・高麗 歴史観光は、まだゼロベース。

・成松 ターゲットを絞らないとぼやけてしまう。韓国客は、韓国人口の10人にひとり(500万人)だが、この地には来ない。

・溝尾 時間がかかるもの。観光客を取り込むためのまちづくりはやるべきではない。

住民が楽しく、自分たちが住んでいる地域で何をやるかだ。

・溝尾 高麗郡の雰囲気を。

・石井 意識させることはできる「歴史景観」。泊まる、食べる施設も同時進行で。

・成松 入口からコツコツ始めてみる。飯能市のエコツーリズムは良い事例。

 

短い時間ではありましたが、先生方からは様々な発言、意見をいただきました。今後の活動に活かしていきたいと考えております。そして皆さんもこの高麗の地がさらに魅力的なまちになるよう考え行動していただけたら幸いです。