【報 告】古代遺跡や遺物から渡来人の痕跡や影響の考察に刺激を受ける  第8回公開歴史講演会 7/3

【報 告】古代遺跡や遺物から渡来人の痕跡や影響の考察に刺激を受ける  第8回公開歴史講演会 7/3

 7月3日(日)、日高市総合福祉センター「高麗の郷」において、第8回高麗郡公開歴史講演会を開催しました。当日は、当初定員を上回るおよそ100人が参加しました。

 新型コロナウイルス感染拡大防止対策として会場施設の利用人数が制限されていましたが、6月になって制限が解除されたため、申し込んだ皆さんにご参加いただけました。

会場となった「高麗の郷」研修室
開会のあいさつをする高麗1300大野会長

 今回のテーマは、『古代の武蔵と朝鮮半島 そして高麗郡』です。講師には、考古学的史料からみた渡来人研究の第一人者、亀田修一先生(岡山理科大学名誉教授)を遠路岡山からお招きし、講演いただきました。

亀田先生の講演では、沢山の資料がスライドで紹介された
講師の亀田修一先生

 講演では、まず、文献史料が少ない東国の渡来人の痕跡を探す手段として、考古学的にはどのような遺構や遺物を探せばよいのかを話されました。

 その観点として、5世紀中ごろから日本に広まっていく「初期のカマド住居」や、「オンドル住居」「大壁建物」などの遺構を探し、その資料として「初期の須恵器窯、朝鮮半島系竪穴式石室、馬埋納土坑など」を探すことであると説かれました。

100人の聴講者を前に
感染対策をしながら聴講

 そして、武蔵国の朝鮮半島系考古資料として、5世紀から8世紀の資料「馬、積石塚、軟質土器、金製垂飾付耳飾」や、さらに7,8世紀の朝鮮半島系瓦「百済系、高句麗系、新羅系」といった豊富な事例をあげて、渡来人の影響を説明されました。

 最後に、「高麗郡の朝鮮半島系資料と渡来人」について、古代寺院の瓦や文献史料「高麗王若王や高麗福信、肖奈福徳やその一族」などから解説されました。

 「渡来人」を視点にして、ざまざまな事例を紹介しながらの亀田先生の話は、とても刺激的で、参加者の皆さんは最後まで聞き入っていました。

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 トークセッションでは、日本高麗浪漫学会の須田勉会長のコーディネート、加藤恭朗研究員がコメンテーターを務め、亀田先生とより深堀りした話となりました。特に「銅鋺」や「群馬と北武蔵の勢力」について熱く議論が交わされました。参加した皆さんは、3人の話の展開から新たな知識を得るなど、充実した時間を過ごした様子でした。

恒例のトークセッション
参加した皆さんは最後まで熱心に聞き入った
3人の熱い議論が展開された
コメンテ―ターの加藤恭朗研究員
コーディネーターの須田勉会長
亀田修一先生

 今回は、募集開始後に会場制限が解けたため、急遽定員を70から200人に変更しました。新型コロナウイルス感染状況によりますが、多くの皆様にご参加いただけるよう進めて参ります。

 12月には、第9回高麗郡建郡歴史シンポジウムを開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。