【報告】日本列島における「馬の出現」に 理解深まる 第10回公開歴史講演会 7/13

【報告】日本列島における「馬の出現」に 理解深まる 第10回公開歴史講演会 7/13

 2025年7月13日(日)、日高市総合福祉センター「高麗の郷」研修室で、第10回高麗郡公開歴史講演会を開催したところ、暑い日が続く中105名が参加しました。

会場の日高市総合福祉センター「高麗の郷」研修室

 

挨拶する高麗1300会長大野松茂
挨拶する日本高麗浪漫学会会長新井孝重

第1部は、京都府立大学文学部准教授の諫早直人先生を講師にお招きし、「日本列島における騎馬文化の出現とその源流」と題して講演いただきました。

 日本古代史においては、特に馬の存在が重要であり、日本高麗浪漫学会では、いつか馬をテーマに歴史講演会で取り上げたいと考えていました。諫早直人先生は馬の考古学者として知名度があり、昨年の渡来文化大賞の奨励賞を受賞したこともあり、高麗郡における馬の活用について理解を深めるため、今回お呼びすることとなりました。

第1部の講演は「日本列島における騎馬文化の出現とその源流」
講師は京都府立大学准教授の諫早直人先生

 諫早先生は、3つの項目に分けてお話をされました。まず第1は、「日本列島騎馬民族征服王朝説」について解説されました。戦後間もない1948年に江上波夫氏により提唱された学説で、日本古代史学界に大きな反響をもたらし、文献史学・考古学・民俗学・自然人類学・文化人類学・言語学・神話学などを巻き込んでの大論争となったそうです。日本列島の古代国家形成を東アジア史、さらにユーラシア史全体の中で理解しようとする研究姿勢は、当時は先駆的であったといいます。

 第2は「日本列島における騎馬文化の出現時期」について解説されました。日本列島における家畜馬の渡来時期は、「散発的渡来」と「本格的渡来」の2つに分かれます。散発的渡来は、弥生時代後期にはじまる牛馬の渡来であり、本格的渡来は、古墳時代中期にはじまる馬の大量渡来です。騎馬を主たる目的とする本格的渡来こそが、現代まで続く日本列島における家畜馬利用の起点であると説明しました。

参加者はメモを取ったりして熱心に聞き入って
騎馬文化の流入について丁寧に解説

 第3は「騎馬文化の渡来とその背景」と題してを話されました。まず、家畜馬の主な用途は、「騎馬(騎乗用)」「駄馬(騎馬に適さない馬の副次的な利用)」「輓馬(駄馬以外に運搬用の輓馬、農耕用など)」分かれるとのこと。その後、大量の馬はどこから輸入されたのか、さらに誰が、どのようにして運んだのかなどについていろいろ論究され、話題を提供されました。

第2部は恒例のトークセッション

 講演後のトークセッションでは、群馬県立歴史博物館の前特別館長の右島和夫先生にコメンテーターとして参加していただき、群馬県における古代の馬関係の出土遺物の話や、講演の内容をさらに深掘りしていただきました。また、12月の高麗郡歴史シンポジウム(東日本における古代の馬生産や牧等)につながる話へと展開、会場は大いに盛り上がりました。 

進行は日本高麗浪漫学会中野副会長
諫早直人先生
コメンテーターに右島和夫先生
日本列島の馬文化出現の話に会場は盛り上がった

<第10回高麗郡公開歴史講演会開催データ>

 テーマ 「東アジアの中で日本列島の騎馬文化を考える!」

 日時 ・・・ 2025年7月13日(日)13:30~16:30
 会場 ・・・ 日高市総合福祉センター「高麗の郷」1F研修室
 主催 ・・・ 日本高麗浪漫学会・一般社団法人高麗1300
 後援 ・・・ 日高市教育委員会
 企画 ・・・ 日本高麗浪漫学会 

<予 告>

第11回高麗郡建郡歴史シンポジウム

日時:12月13日(土) 13:00~16:40(予定)
会場:日高市総合福祉センター「高麗の郷」研修室

テーマ:(仮)古代の馬生産とその活用

  ★古代東国の馬の活用から高麗郡ではどうだったのか・・・
               議論を深めたいと考えています。

    11月下旬頃よりご案内いたします。
    皆様のご参加をお待ちしております。

日本高麗浪漫学会
高麗1300