【授賞式は5/17開催】第7回渡来文化大賞・三賞が決定! 大賞は 大道和人著『日本古代製鉄の考古学的研究』(雄山閣)
第7回渡来文化大賞・授賞式は、5月17日(土)に、高麗1300総会終了後(14:00頃)に開催します。会場は、高麗神社・参集殿2階大広間です。出席対象者は高麗1300会員と関係者になります。
既に、会員の皆様には案内状をお送りしております。同封の返信ハガキにて出欠のご連絡をいただきますようお願い申し上げます。
日本高麗浪漫学会 高麗澄雄記念
『第7回渡来文化大賞』授賞者決定
高麗1300と日本高麗浪漫学会は、日本高麗浪漫学会 高麗澄雄記念「第7回渡来文化大賞」(対象業績期間:2022年1月1日~2024年12月31日、締切り:2024年12月31日)への募集を広く実施したところ、多数の応募を頂戴しました。誠にありがとございました。
2025年3月6日(木)、横浜市歴史博物館会議室において、渡来文化研究大賞並びに奨励賞、啓蒙賞の選考委員会(鈴木靖民委員長)を実施し、5人の選考委員の先生方に広角的専門的にご審議いただきましたところ、以下の選考結果となりました。
なお、第7回渡来文化大賞授賞式は、5月17日(土)、高麗神社に於て開催いたします。(当会会員および関係者の皆様には追ってご案内いたします)
***********************
***********************
<渡来文化研究大賞(1件)>
大道和人 著
『日本古代製鉄の考古学的研究―近江から日本列島へ―』
雄山閣 2024年10月発行
≪授賞理由≫
日本古代の製鉄の実態について、日本列島全体の動きを視野に収めつつ、特に著者のフィールドとする近江(滋賀県)に力点を置き、考古学の方法論で長年の考察を集成した大作である。6世紀第二四半期の開始から10世紀に至る製鉄の発展と画期を7段階に区分するほか、近江の事例を詳細に分析して性格付けし、その背景に列島内部の状況や国際情勢を推定する。近江の箱形炉の開発の渡来人の関与、竪、概念規定の確認も一々なされている。製鉄の様々な側面に留意し、バランスの取れた研究として評価される。渡来文化研究大賞に相応しい業績と認められる。
<渡来文化研究奨励賞(1件)>
アンデルセン エミル マルテ 著
『渡来系の人の個人名と同化
―亡命百済・高句麗系の人の例を中心に―』
『古代文化』第76巻第3号 古代学協会 2024年3月発行
≪授賞理由≫
7世紀後半の百済、高句麗の滅亡の制度に伴い日本に亡命した人とその子孫の個人名の変化を分析して、在来の人への同化過程を考察した論文である。亡命者は7世紀末に特別待遇の後、戸籍、課役、冠位などの制度に組み込まれ、同化政策の対象となった。渡来後安置されて多様な集住地域を形成したが、在来の人との交流も多かった。命名習慣により8世紀半ばまでに同化=日本風化したとする。従来の渡来人研究を批判し、同化の分析を主眼とする視角から出自、職掌、居住される地、共同体などの在り方を通して同化の多様性を明確に究明したことが評価される。亡命系以外の問題如何のような、さらなる拡がりが期待されるが、この論文は渡来文化研究奨励賞に値する論文である。
<渡来文化研究啓蒙賞(1件)>
酒寄雅志 著
『渤海と日本』
吉川弘文館 2024年1月発行
≪授賞理由≫
著者は2021年12月逝去したが、専門とする古代の8~9世紀の日本と中国東北部を主にして建てられた渤海との関係を考察し、さらに日本にもたらされた渤海史関連の遺物や文化財を紹介した著書である。研究者を対象とする専門書ではない。しかしこの書は特に近代日本の「満洲」への進出、支配との不可分の関係を扱う特長を持っており、中国、韓国などの渤海の歴史や考古の成果をすべて摂取して文化交流を論じた概説ではないが、全体として類書が少なく、若手研究者のこれからの指針としてばかりでなく、市民を啓発する意義がすこぶる大きいと認められる。よって渡来文化研究啓蒙賞にふさわしいものである。
***********************
選考委員会の様子(3月6日・横浜市歴史博物館・会議室)
<選考委員会>
~渡来文化大賞選考委員会委員(敬称略)~
鈴木靖民(委員長):國學院大學名誉教授
早乙女雅博(副委員長):東京大学名誉教授
佐藤 信 :東京大学名誉教授・横浜市歴史博物館館長
李 成市 :早稲田大学名誉教授
酒井清治 :駒澤大學名誉教授
***********************
令和7年4月1日
<主催> 高麗1300 会長 大野松茂
日本高麗浪漫会 会長 新井孝重