【報 告】身近な歴史により理解が深まる・・・ 2021年度 高麗郡歴史講座 全日程終了

【報 告】身近な歴史により理解が深まる・・・ 2021年度 高麗郡歴史講座 全日程終了

 2021年度の新企画『高麗郡歴史講座』の全日程が終了しました。4人の講師が2回ずつの講座担当、手作りのテキストをもとに、じっくりと解説したり、白地図に特徴ごとに遺跡を色分けするワークショップなど、充実した講座となりました。

講義の様子(須田先生)
講義の様子(加藤先生)

  

6月講座

6/12『飛鳥寺の造営と高句麗』
6/26『高麗寺の造営と高句麗』
講師:須田勉先生(日本高麗浪漫学会会長・元国士舘大学教授)

  飛鳥寺や高麗寺の造営に高句麗がどのように関わったか、発掘された伽藍配置や瓦などを分析し、また文献(日本書紀)の記述から当時の情勢もあわせて複合的に考察しました。考古(資料)と文献(史料)をつなぎ合わせることで、歴史をより立体的に理解することができました。25人受講。

7月講座

7/3『新羅郡建郡について』
7/17『高麗郡建郡について』
講師:中野高行先生(同副会長・慶應義塾大学講師)

 続日本紀、和名類聚抄、日本書紀、新編武蔵風土記稿などから、これまでの研究者の説を紹介しながら新羅郡建郡と高麗郡建郡について考察しました。一つの史料を鵜呑みにするのではなく、さまざまな文献を調べ、それを読みとき、自分なりの解釈を導き出すことを求められました。そして奥深さを実感した講座でした。23人受講。

9月講座

9/4・11『古代高麗郡を題材に考古学の手法を体験「高麗郡研究の一視点」』
講師:富元久美子先生(同研究員・飯能市教育委員会専門調査員)

 発掘調査で得られたさまざまなデータは“解釈”され、歴史をひも解く一助となります。そのデータ解析の過程での作業を追体験しました。地図に、建郡前と建郡後の遺跡を色分けし、水田、川、丘陵、窯跡群などとの位置関係を俯瞰してみると、それぞれが密接につながっている様子が浮き上がって見え、とても楽しく学ぶことができました。20人受講。

10月講座

9/23『高麗郡建郡と入間郡の遺跡』
9/30『勝呂廃寺と高麗福信』
講師:加藤恭朗先生(同研究員・元坂戸市歴史民俗資料館館長)

 高麗郡建郡について、周辺地域の発掘調査からさまざまな考察をしました。若葉台遺跡などの坂戸中央部遺跡群に着目し、建郡前からの大規模集落や渡来人、特に肖奈氏との関わりが深いことがわかってきました。さらに、県内最古級の勝呂廃寺と南比企窯跡群、東山道武蔵路などとも関連して、多角的立体的に高麗郡建郡を解く講座となりました。22人受講。

来年度も高麗郡歴史講座を開講したいと考えております。詳細が決まり次第(2022年4月頃)、皆様にご案内いたします。学生に戻った気分でお気軽にぜひご参加ください。