【報 告】2025年度高麗郡歴史講座終了
今年度の高麗郡歴史講座は、10月講座を持ちましてすべての講座が終了しました。外部からの講師もお招きして3講座を設けましたが、皆さん熱心に受講されていました。全講座を受講された方も多く、歴史講演会なども含めると、毎週のように「歴史」を学びに日高市に通ったという方もいらっしゃいました。いつも皆さんの向学心に刺激を受け、来年度も実施したいと考えております。
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7月講座 根本 靖先生(元所沢市埋蔵文化財調査センター所長)
古代武蔵国の幹線道路 ―東山道武蔵路について―
古代の食卓事情 ―土師器と須恵器の世界―
1日目は「東山道武蔵路」についての講義。まず、古代の道路政策、特に7世紀後半から整備した、奈良飛鳥から各地方へ放射状の道路を構築した七道について解説しました。そして古代武蔵国とを結ぶ東山道武蔵路について、文献やルートを紹介しました。さらに「所沢市東の上遺跡」について詳しく解説しました。道路遺構や出土物から読み解き、「駅家」の可能性を指摘しました。
2日目は土師器や須恵器についてくわしく解説しました。出土した土器の特徴やカマドの構造など、当時の生活を想像しながら話を聞きました。また、それらの流通についても説明。武蔵国の4つの窯跡からの流通先について解説しました。実際に出土した土器も紹介され、現物を触ることもできました。発掘調査で出土したさまざまな土器について、さらに知識が深まりました。
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9月講座 井上尚明先生(立正大学非常勤講師)
「古代高麗郡の時代」
自然環境と災害の視点から
生業と装身具の視点から
1日目は、まず縄文時代の気候について説明しました。自然環境の変化は、衣食住だけではなく、物質文化、精神文化、社会そのものにも大きな影響を与えていることがわかりました。高麗郡建郡の頃の気候についても解説、若宮遺跡(日高市女影)には氷室跡がみつかっていることから温暖な気候ではないと考察しました。さらに、多くの文献資料から災害記録を拾い出し当時の高麗郡にどのような自然災害がもたらしていたかを探りました。
2日目は、まず高麗郡の水田について探りました。小畔川流域の水田について触れ、それが高麗郡を支える基盤だったと説明しました。つづいて高麗郡の生業ついて解説しました。遺跡から出土した道具などから生業について読み解きました。また、出土した遺物から当時の服装を考察、女性の髪形についても埴輪や古墳壁画などから考察しました。
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10月講座 赤木隆幸先生(日本高麗浪漫学会研究員)
高麗福信ゆかりの人物 阿倍内親王/道鏡
1日目は、阿倍内親王に関する文献を中心に、阿倍内親王の生涯について考えた。藤原氏や皇族(天皇)の系図などからも、人間関係を紐解き、孝謙天皇、称徳天皇時代の様子を探りました。
2日目は、同様にさまざまな文献から、道鏡の生き様を辿りました。 特に、道鏡と称徳天皇との関係が、その後の時代に好色にとらえられていたことなども紹介されました。










