古代のハイテク基地・東日本最大級の鳩山窯跡群を見学

古代のハイテク基地・東日本最大級の鳩山窯跡群を見学

古代のシリコンバレー?窯業遺跡の規模にびっくり

高麗郡との関係など深まる古代の謎

昨年から実施してきた歴史探訪講座の特別講座として、4月20日、高麗郡と深い関係があるとされる鳩山町の古代窯業遺跡を見学しました。鳩山町を中心にした窯業遺跡は東日本最大級で、関東・東北では最大といわれています。メンバーは大量の須恵器や瓦、全国でも珍しい出土品を見ながら説明を聞き、また、実際に発掘現場を訪れました。

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ジオラマで遺跡の規模について説明を受ける参加者

この日、記念事業委員会のメンバーは、鳩山町松ヶ丘の多世代活動交流センター内の歴史学習ルームを訪問。同町教育委員会の永井智教さんから、鳩山の窯跡群について教えていただきました。鳩山町は奈良・平安時代に須恵器や瓦の生産で栄えた「古代の焼き物の里」だそうです。最盛期には、500~1000基の窯があったそうです。

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ずらりと並んだ出土品。今でも使えそうな容器もあります。

特にめざましい発展をとげたのが、瓦の生産です。7世紀後半には地域の先進文化の象徴だった坂戸市の勝呂廃寺の瓦を供給。それが8世紀になると、武蔵国分寺(東京都国分寺市)の瓦も生産するようになり、武蔵国最大の供給地となります。

当時の仏教は、最先端の学問でした。そのため、鳩山の遺跡から出土する遺物には、ほかにないような珍しいものが見られます。

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右は、他に類例のない「須恵器香炉蓋状製品」。左は、底に文字のある容器

上の写真の右側「須恵器香炉蓋状製品」は、本当に珍しい遺物です。最近の研究で、古代の仏塔「ストゥーパ」を模したものではないかと考えられています。左の壺の底には、「この壺を持っていると大金持ちになるよ」というようなことが漢文で書いてあるのですが、写真では読めませんね…。

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これも珍しい陶製仏殿

そしてこれ、陶製仏殿。焼き物でつくったお寺のミニチュアといってよいもので、細かいところまでリアルに作りこんであるそうです。しかし、どうやら実際には使われなかったようです。理由は…拝むにはちょっと出来が…ということらしいです。

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底に文字のある容器の破片

そして文字の刻まれた容器の底たち。今でもはっきりと文字が読み取れます。

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発掘現場。とにかく広い

次に外へ出て、遺跡の現地を見学。雨が降ってきたので、ちょっと駆け足に。遺跡の保存地域は公園になっていて、本当にどこを向いても窯跡でした。斜面に掘られた登り窯の跡には、失敗作の陶器の破片が1000年も前に捨てられたとは思えない状態で残っていました。

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復元された登り窯

この日の最後は、復元された登り窯。実際に地元の粘土で土器や瓦を焼いたりしているそうです。燃料も近くの雑木を使います。鳩山町では、かつて「焼き物の里」だった歴史を生かした地域おこしを考えているそうです。まさに私たちの建郡1300年記念事業と通じる部分があります。「今度、『高麗郡』の銘を入れた瓦を焼かせてください」なんて話で盛り上がりました。