【報 告】坂戸市内(入間郡)高麗郡建郡前の遺跡を巡る 10/23(日)

【報 告】坂戸市内(入間郡)高麗郡建郡前の遺跡を巡る 10/23(日)

 第12回高麗のふるさと歴史ウオークは、2022年10月23日(日)、東武東上線「若葉駅・東口」からと同「北坂戸駅・東口」までの約10kmを、48人が歩きました。前回に続いて、50人近くの参加者を得て開催することができました。

 朝8:30頃から受付、挨拶、連絡事項、準備体操を済ませて9:00に出発。実は、今回の歴史ウオークは、坂戸市教育委員会の山本良太さんと日本高麗浪漫学会研究員の加藤恭朗さんのW解説者となりました。

東武東上線「若葉駅」を出発
皆さん感染対策のマスクをしています

 若葉駅を出発し、まずは「若葉台遺跡」へ。住宅地の中にある「富士見西児童公園」に行くと、説明板が設置されています。早速、加藤さんと山本さんが解説してくださいました。

住宅地にある「富士見西児童公園」に到着
加藤さんと山本さんの解説(元上司と部下⁉)

 「若葉台遺跡」は、奈良・平安時代の集落跡で、住居跡や掘立柱建物跡など多数発見されています。竪穴建物跡約280棟、掘立柱建物跡約230棟などから、入間郡屈指の大規模集落と言えます。特に遺跡の東側で見つかった四面庇(ひさし)の建物は、加藤さんによると『村落内寺院』ではないかとのことでした。また、出土した「高山」「時山」と書かれた墨書土器などから、高句麗王族の肖奈氏(しょうなし)との関係があるものと考えられるのだそうです。いったいどのような遺跡なのか、今後の調査検討で高麗郡建郡の謎(理由)の解明にもつながるものと期待されます。

二人の絶妙な連携で解説も盛り上がる
公園内に設置された解説板

 前回に続き、スタート早々に本命の遺跡を訪ねてしまいました。が、まだまだ見ごたえある遺跡はあります。

町東遺跡周辺

 続いては、「町東遺跡」です。ここは、東山道武蔵路の道路遺構が見つかったところです。南方向に向くと、先は武蔵国分寺や武蔵国府へ。北に向くと、上野国(群馬県太田市)で東山道に繋がります。

 これまでの歴史ウオークで、埼玉県と東京都の「東山道武蔵路」の道路遺構を巡ってきましたが、この「町東遺跡」ですべて網羅したことになります。

 しばらく畑の中を歩くと、左に何やら黄色く輝く建造物が・・・聖天宮(せいてんきゅう)です。
今回は遠目でみるだけですが、一度訪ねてみてはいかがですか?
⇒どんな建物かは、こちら・・・https://www.seitenkyu.com/

畑の中を歩く
華やかな聖天宮
雷電塚古墳に向かう

 ここからは、第3回歴史ウオークで歩いたコースと重なります。

雷電塚古墳

 3番目の遺跡は、「雷電塚古墳」。6世紀中ごろに築造された前方後円墳です。こちらでも、加藤さん、山本さんから説明がありました。周溝からは埴輪や須恵器の破片などが見つかっていますが、主体部(埋葬部分)の本格的な発掘調査は行っていないとのことでした。既に盗掘にあっているだろうとの話でした。坂戸市周辺には多くの古墳がありますが、この雷電塚古墳の周りには、削られて周溝だけが確認された円墳が10基見つかっているそうです。

古墳の上にのぼることができます
古墳の上からはかなり見通しがきく(現代建造物除く)
少し崩れてしまっているが、右の山が円墳部分、左が前方部分

 次は、大宮住吉神社へ。青空も出てきてとても爽やかなウオーク日和となりました。

秋晴れの下、歩く
そろそろお腹も空いてきたころ

住吉神社に到着。ここで、昼食となりました。

大宮住吉神社へ到着
境内で昼食をとる

 昼食後、出発前に加藤さんと山本さんから、坂戸市内の遺跡についてなどの解説をいただきました。また参加者からの質問もあり、みなさん知識を深めた様子でした

出発前に解説する加藤さん
現地で聞くと理解も深まる?

 住吉神社からほど近くに、「馬場遺跡」があります。ここは、東山道武蔵路の遺構が見つかった場所です。先ほど訪ねた「町東遺跡」から北上したポイントになります。道路幅は側溝の中央から10~11ⅿありました。

馬場遺跡(東山道武蔵路道路遺構)
加藤さんの解説を聞く
のどかな田園風景の中を歩く

 「馬場遺跡」から北上した位置にある「勝呂神社」です。ここは古墳の上に建つ神社で、もとは白山神社と称していました。社まで登ると、360度見渡せます。

勝呂神社は円墳の上に建つ
ここでも解説を聞く

 「勝呂神社」から少し歩くと、「勝呂廃寺」に着きます。本日二番目に重要な遺跡です。ここでは、「勝呂廃寺見学(加藤さん解説)」と「坂戸市立歴史民俗資料館見学(山本さん解説)」を2班に分かれて行いました。

 勝呂廃寺は7世紀後半に建てられた古代寺院です。創建瓦は鳩山町の赤沼古代瓦窯で焼成されたもので、周辺の窯が発展拡大するきっかけとなりました。塔の相輪など重要な出土品も見つかっています。

解説板と礎石跡(復原)がある
セメントで作られた復原礎石がイスに
勝呂廃寺では加藤さんが解説
少々日差しが強く、暑いくらい

 また、坂戸市歴史民俗資料館では、勝呂廃寺をはじめ、坂戸市内の遺跡から見つかった遺物を展示しています。勝呂廃寺の相輪や若葉台遺跡の墨書土器を見ることができました。

資料館では遺物などを見学
山本さんが解説。質問にも答えてくれた
遺物が展示されたショーケースを覗くと・・・
若葉台遺跡出土の墨書土器「髙山」などが展示されている

 ここでじっくりと時間を取ったため、予定よりも遅れて出発となりました。ここからは、北坂戸駅へ向かいながら、胴山古墳と大智寺に寄ります。山本さんとは、ここでお別れとなりました。今から発掘現場で仕事だそうです。おいそがしい中にもかかわらず、私たちにお付き合いいただきありがとうございました。

参加者の皆さん(疲れてきたところで記念撮影になり、すみません)

 胴山古墳は、6世紀前半に築造された、坂戸市内最大規模の前方後円墳です。残念ながらうっそうとした林になってしまっていますが、このような古墳に埋葬される有力者がいたことは、この地域が政治的経済的に繁栄していたことに繋がってきます。

胴山古墳(うっそうとした林)

 最後は、大智寺(真言宗智山派)です。境内入口の駐車場内に、大きな石が立てられています。『雨乞いの石』と言われていますが、どうやら古墳の石室に使われていた石ではないかとのことでした。

鬼橋の解説板(地元の伝説)
古墳に使われていたと思われる大きな石板

 ここからは、各自の歩行の速さを考慮して大智寺でひとまず解散とし、北坂戸駅へと向かいました。

 参加された皆様、大変お疲れさまでした。予定より時間が伸びてしまい大変申し訳ございませんでした。前回につづき、入間郡内の、高麗郡建郡前の遺跡を巡り、高麗郡ができる素地ができていたことがお分かりいただけたかと思います。

 次回、第13回は、高麗郡内の古代遺跡を巡りたいと考えております。これまでの歴史ウオークで、高麗郡に関わる遺跡はほとんど訪ねました。今回もそうでしたが、これからは過去のコースと重複してきます。2度目3度目の方もいらっしゃるかと思いますが、何卒ご了承下さい。また初めての方はぜひお楽しみに!