【報告】地元武士集団「河越氏」「高坂氏」の活躍や人物像に迫る  第5回高麗郡中世歴史講演会

【報告】地元武士集団「河越氏」「高坂氏」の活躍や人物像に迫る  第5回高麗郡中世歴史講演会

 2023年3月5日(日)、日高市総合福祉センター「高麗の郷」で、第5回高麗郡中世歴史講演会を開催しました。新型コロナウイルス感染対策で定員を100人にして募集したところ、100人を少し超える事前登録をいただきました。当日若干の欠席者があったのもの、97人が参加。中世戦乱期の地元武士集団の活躍ぶりを知ることとなりました。

会場となった「高麗の郷」研修室

 この日は「中世武蔵武士とその本拠~平一揆を中心に~」をテーマに開催。まず大東文化大学教授の落合義明先生にご講演いただき、その後、獨協大学名誉教授で日本高麗浪漫学会の新井孝重先生とトークセッションの2部構成。

主催者挨拶をする 高麗1300大野松茂会長
主催者挨拶をする 日本高麗浪漫学会須田勉会長

 第1部は、「南北朝時代の武蔵武士~平一揆~」と題して、落合義明先生に講演いただきました。はじめに「鎌倉時代後半(1275年)の武蔵野武士の御家人の数について、当時の全国の全御家人469人中、武蔵武士は94人と一番多く、大変大きな勢力をもっていた」ことにふれ、さらに平一揆(1352~1368年)の有様について具体的に話されました。その一揆の中心的なリーダーは、地元の武士集団の河越直重と高坂氏重であり、その活躍や人物像、さらに足利氏の関係について『太平記』等の史料記述をもとに紹介されました。

手元の資料とプロジェクターを見ながら先生の話を聞く
画面には詳細な資料が映し出された
熱の入った講演をする落合義明先生
熱心に耳を傾ける参加者の皆さん

 第2部は、落合先生と新井孝重先生によるトークセッション。「斎藤慎一氏による武蔵武士の本拠モデル(13~15世紀前半)」と題して、東松山市岩殿の正法寺や河越氏館などをあげながら論じられました。また、河越氏と関係ある河越茶の起源についても紹介されるなど、河越氏と高坂氏との縁戚関係や、軍事力ばかりでなく、その財力、文化性について幅広く論じられ、二人の先生の話に興味が尽きませんでした。

落合先生と新井先生のトークセッション
いくつもの興味深い話が飛びだす
武士の本拠の話が深掘りされていく
二人の先生の軽妙な語りに聞き入る

今回は、大東文化大学教授の落合義明先生に、ご多用の時間を割いてご講演いただきました。ありがとうございました。ぜひまたお話をいただきたいと存じます。また、新井孝重先生には、毎回企画からトークセッションまでコーディネートしていただいております。この場を借りて御礼申し上げます。

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 新井孝重先生作による『太平記歴史絵画展』を、3月12日(日)~21日(火)まで、高麗神社にて開催しています。中世の戦乱を描いた軍記物語『太平記』を絵画で見ることができます。新井先生が描いた躍動感ある『絵』で『太平記』の世界を覗いてみてはいかがですか?

 詳しくはこちら・・・http://komagun.jp/2023/0307/11972

 高麗1300では、毎年3月に「高麗郡中世歴史講演会」を開催しています。また、年間通じては、高麗郡建郡を中心にした古代史や渡来文化に関する講演会やシンポジウム、現地見学会などを実施しています。ぜひ私たちとともに、地域の歴史を探ってみませんか? ご興味をお持ちの方は事務局までお問い合わせください。