【報 告】群馬県立歴史博物館が大賞に! 第2回日本高麗浪漫学会 高麗澄雄記念 渡来文化大賞・表彰式

【報 告】群馬県立歴史博物館が大賞に! 第2回日本高麗浪漫学会 高麗澄雄記念 渡来文化大賞・表彰式

第2回 日本高麗浪漫学会 高麗澄雄記念 渡来文化大賞 表彰式が行われる

 

去る8月9日日曜日、高麗神社参集殿大広間を会場に開催しました。コロナ禍のため、5月開催の予定を延期し、参加人数を絞るなどの対策を施して行いました。受賞者については、既に当トピックスでお知らせしておりますが、3月の選考委員会(鈴木靖民選考委員長ほか4名)で受賞者が確定していたものです。この賞は、古代渡来文化研究の活性化と更なる発展・普及のために設けられた賞で、第二回目は、次の三人の団体および研究者に贈られました。

会場となった高麗神社・大広間

コロナ対策で座席をあけ、窓を開け換気

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表彰式では、一般社団法人高麗1300理事長の大野松茂、同副理事長で日本高麗浪漫学会会長の須田勉と同副理事長で高麗神社宮司の高麗文康が挨拶、つづいて表彰式が行われました。

 

そのあと、選考委員会の高橋一夫副委員長(日本高麗浪漫学会顧問)から選考講評(選考委員会委員長 鈴木靖民)が代読されました。

日本高麗浪漫学会 須田勉会長

一般社団法人高麗1300 大野松茂理事長

高麗1300副理事長・高麗神社 高麗文康宮司

選考委員会 高橋一夫副委員長

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表彰式では、受賞者に大野理事長から賞状と記念品や賞金が手渡されました。

 

以下、受賞者の皆さんと講評です。

渡来文化研究大賞:群馬県立歴史博物館(主催)・韓国釜山広域市立福泉博物館など(共催)『海を渡ってきた馬文化―黒井峯遺跡と群れる馬』群馬県立歴史博物館、2017 年9 月30 日発行

大賞受賞した群馬県立歴史博物館右島特別館長(左)と飯田主任(右)

右島和夫特別館長のミニ講演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渡来文化研究大賞の『海を渡ってきた馬文化―黒井峯遺跡と群れる馬』でありますが、これは群馬県立歴史博物館グランドオープン記念の企画展図録です。日本と韓国に及ぶ展示内容はもとより、黒井峯遺跡や金井東裏遺跡をはじめとする群馬県内の古墳時代の遺跡関連の論考やシンポジウムの成果などを生かし、広く馬の文化や渡来文化を市民と研究者に発信するとともに、将来にわたって渡来文化研究を進展させる内容をもった業績として高く評価することができます。

※記念プレートは、博物館エントランスに掲示される予定です。

渡来文化研究奨励賞:土屋隆史(つちやたかふみ)『古墳時代の日朝交流と金工品』雄山閣、2018 年2 月26日発行

奨励賞の土屋隆史さん(左)

土屋隆史さんのミニ講演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4~7世紀の倭国の古墳出土と朝鮮南部古墳出土の胡簶(ころく)金具など武具や葬送品の受容と倭国での展開を論じています。つまり、金工品生産と渡来人との関係を考察して対外交流に迫り、日韓両地域の事例について明快に示しています。また、これら遺物の相互作用に注目した分析研究を批判的・総合的に継承して、金工品の形態変化などから渡来工人の関与を追求し、倭の国際環境や日韓の交流史も論じています。渡来人集団については特に百済系渡来人を重視しています。本書はわかり易い構成で、考古学だけでなく文献研究にもよく目配りしており、今後の研究の広がりが大いに期待されます。

渡来文化研究奨励賞:中久保辰夫(なかくぼたつお)『日本古代国家の形成過程と対外交流』大阪大学出版会、2017 年3 月24 日発行

奨励賞の中久保辰夫さん(左)

中久保辰夫さんのミニ講演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3世紀~5世紀にかけての日本列島の渡来文化の受容と政治権力の関わりを、①古墳時代の土器論、②日韓交渉の展開、③渡来人と在来の日本社会、④渡来人の役割と政権交替論の4つの論点を総合させての論を展開しています。古墳時代初期の特徴ある土器を、日韓の影響関係を東アジアの動きも視野に入れて考え、さらに5世紀の近畿の渡来人について、移入先、居住期間や定着、在来集団との関係を土器の分析に基づいて捉えています。315 遺跡にのぼるという韓式系軟質土器、渡来系集団と在来集団の違い、さらには倭国で最初に大量生産された大阪・陶邑の渡来系集団の定着過程とともに、古市・百舌鳥古墳群との関係にも触れ、東アジア情勢との連動、河内勢力勃興説、原初的官僚層などにも論及するという、問題・関心に溢れた渡来文化の力作と評価できます。今後さらに実証的研究を深化させることにより、一層の研究の進展が期待されるところです。

 

受賞された皆様おめでとうございます。一層の研究に期待しております。

第2回受賞者を囲んで

受賞者の皆さん

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、任期満了となった選考委員会委員に対して、委嘱状が交付されました。今回、高橋一夫副委員長が退任され、後任に酒井清治先生(駒澤大学名誉教授)が選任されました。

大野理事長より委嘱状が手渡された(酒井新委員)

今年度(2020年度)の選考委員会委員の皆様

鈴木靖民 委員長(横浜市歴史博物館館長・國學院大學名誉教授)

早乙女雅博 委員(東京大学名誉教授)

佐藤 信 委員(人間文化研究機構理事・東京大学名誉教授)

李 成市 委員(早稲田大学文学学術院教授)

酒井清治 委員(駒澤大学名誉教授)

 

第3回日本高麗浪漫学会高麗澄雄記念渡来文化大賞は、今秋募集(12月末日締切)し、来年春に選考審査を経て来年度表彰式を行う予定です。渡来文化研究に情熱を傾けておられる研究者の皆様の多くの応募をお待ちしております。

詳しくは、(一社)高麗1300事務局へお問い合わせください。