【報 告】古代史研究にみる「帰化」と「渡来」・・・定義の難しさと奥深さを学ぶ 第7回公開歴史講演会 7/11

【報 告】古代史研究にみる「帰化」と「渡来」・・・定義の難しさと奥深さを学ぶ 第7回公開歴史講演会 7/11

 昼頃から激しい雷雨となった7月11日(日)、日高市総合福祉センター「高麗の郷」研修室で、第7回高麗郡公開歴史講演会を開催しました。当日は、会場定員のちょうど70人が参加しました。

 2020年7月に、『日本書紀』編纂1300年として企画しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大により中止しました。そして一年を待って、同じ企画内容で講師をお招きし、新たな観点から講演していただき、高麗郡に関する認識を深めようと開催しました。

 講師には、日本古代史の文献研究で、『日本書紀』について大変造詣が深い早稲田大学教授・田中史生先生をお呼びし、『日本書紀』にみる「帰化」および「渡来文化」についてご講演いただきました。

講師の田中史生先生

 講演では、「帰化」の文字の記載は、『日本書紀』になってはじめて登場します。その言葉は、長い歴史を経て現在もなお使われ、それはそれぞれの背景の上にたった使い方がなされています。また、上田正昭先生の学説の提唱で、現在では「帰化人」から「渡来人」という言葉の使い方に変わりましたが、その後も古代史研究では双方の言葉の解釈にまだ決着がついていないことも紹介されました。

講演では、スライドと手元資料をもとに解説

 最後に、移動する身体としての「渡来人」、移動し住み着く「渡来系移住民」、移動する文化としての「渡来文化」、渡来人を祖とし渡来文化を継承する「渡来系氏族」と、それぞれの言葉の使い方や定義の違いを指摘しました。

コロナ対策により、席数を制限して開催

 講演の内容は「帰化」の定義など、かなり高度でしたが、古代史研究の第一線の内容をわかり易く解説され、聴講者を魅了するエネルギッシュな講演となりました。

熱心に聴講する参加者の皆さん

 田中先生の講演の後、「渡来文化と『日本書紀』の成立を探る!」と題して、荒井秀規日本高麗浪漫学会副会長のコーディネートのもと、赤木隆幸同研究員がコメンテーターとして加わり、田中史夫先生を囲んでのトークセッションを行いました。

田中先生を交えて、荒井コーディネーターと赤木コメンテーターによるトークセッション
田中先生は、高麗郡の肖名行文の功績にも触れた

 今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場定員を大幅に削減して開催いたしました。私たちは、一日も早くコロナ禍前にもどり、これまでと同様に一人でも多くの皆様にご参加いただける日が来るよう願っております。

 当会主催の次回講演会は、「第8回高麗郡建郡歴史シンポジウム」を12月上旬に予定しております。準備が整い次第ご案内いたします。お楽しみに!