【報 告】今年も優れたふたりの渡来文化研究者へ授与 第4回渡来文化大賞授賞式&ミニ講演会 5月21日(土)
さる5月21日土曜日、第4回 日本高麗浪漫学会 高麗澄雄記念 渡来文化大賞・授賞式&ミニ講演会を、高麗神社参集殿において開催しました。
式には、大賞受賞の大橋信弥さん、奨励賞受賞の南健太郎さんをはじめ、30人ほどの高麗1300会員や関係者が出席しました。
主催者のあいさつの後、受賞者二人が紹介され、高麗1300会長の大野松茂より賞状と副賞(賞金)が手渡されました。
★渡来文化研究大賞 大橋 信弥さん(渡来人歴史館顧問)
『古代の地域支配と渡来人』吉川弘文館 2019年8月1日発行
★渡来文化研究奨励賞 南 健太郎さん(京都橘大学准教授)
『東アジアの銅鏡と弥生社会』 同成社 2019年4月17日発行
選考講評では、選考委員会の鈴木靖民委員長(國學院大學名誉教授)からそれぞれの受賞作品について評価、選考理由などが述べられました。また、早乙女雅博委員(東京大学名誉教授)と酒井清治委員(駒澤大学名誉教授)からもお祝いのコメントがありました。
休憩の後、受賞者二人によるミニ講演会を開催しました。
まずは、渡来文化奨励賞の南健太郎さんが講演、受賞著書の『東アジアの銅鏡と弥生社会』から、古代中国などで作られた銅鏡を弥生時代の人々がどのように受け入れ、それが周辺地域へ広まって保有されていったのか、弥生時代の移り変わりと照らしながら解説しました。また破鏡に着目した分析や考察は、大変興味深いものがありました。小さく割れた鏡が、個人のステイタスや地域間の序列へとつながっていることなどが紹介されました。
つづいて、渡来文化研究大賞の大橋信弥さんは、受賞著書『古代の地域支配と渡来人』から講演。近江(滋賀県)で昭和40年代から考古学的調査が進み、到来系の遺跡が見つかっていることを紹介。また大和(奈良県)ではさらにさかのぼって韓式土器などが見つかっていることから、4世紀末頃から渡来人が村を作り始めていると指摘しました。さらに『日本書紀』や『新撰姓氏録』などから、渡来系氏族の倭漢氏や秦氏が中心となり渡来系の人々を吸収して有力な地位を築いていったのでないかと解説きました。
最後に、今回の授賞式をまとめ、閉会しました。
第5回は、今秋頃より募集し、2023年3月に選考委員会による審査によって大賞、奨励賞が決まり、同月末ごろに発表します。授賞式や講演会は5月を予定しています。
「渡来文化大賞」は、古代史研究、とりわけ渡来文化についての研究成果(著書・論文・展示発表など)に対して大賞や奨励賞を贈り、これらの分野の研究が進むこと、若手研究者への励みになることを目的にしています。
古代史研究・渡来文化研究者の皆様、奮っての応募をお待ちしております。
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第4回に関する記事はこちら・・・
作品募集記事・・・・・http://komagun.jp/2021/1209/10496
選考結果発表記事・・・http://komagun.jp/2022/0421/11125